No.0018

友だちが描いたタコの落書きから、
人生が始まった話

さかなクン

今日はさかなクンの話をさせてください。東京海洋大学名誉博士、あのさかなクンです。

この人の人生に火をつけたもの、何だと思います? 水族館でも、豪華な図鑑でもありません。

友だちの落書きです。

小学2年生のとき、友だちがノートに描いたタコの絵。それを見て夢中になり、図鑑を調べ、図書館に通い、タコから魚の世界ぜんぶへ。小学3年生のときには、下敷きの絵で一目惚れしたウマヅラハギに会いたくて、自転車で40分かけて魚屋さんに通ったそうです(ちなみにそのウマヅラハギ、板前さんに刺身にされてしまいました😭)。

学校の成績は、良くなかったそうです。でもお母さんは、魚の絵ばかり描く息子を変えようとしませんでした。うちの子は魚が好きなのでこれでいい——と、本人がのちに振り返って語っています。

その後の道も、まっすぐじゃありません。水産系の大学には受からず、専門学校を出て、ペットショップに住み込み、寿司屋でも働きました。でも、そこで描いた魚のイラストが評判になって、少しずつ道が開けていきます。

そして2010年。絶滅したとされていた魚「クニマス」の生存発見に、さかなクンが貢献するんです。イラストを描くために近縁種の魚を全国から取り寄せたら、その中に「あれ?」という特徴の個体がいた。好奇心で積み上げた知識が、約70年ぶりの大発見につながりました🔥 天皇陛下が誕生日の会見でこの功績に触れた公式記録も残っています。2015年には東京海洋大学の名誉博士に。

さかなクンが、いじめに悩む子へ向けて新聞に書いた言葉があります。

「広い空の下、広い海へ出てみましょう」

狭い水槽では魚もいじめが起きるけれど、広い海ではのびのび泳ぐ——魚を見続けた人にしか書けない文章でした。

友だちの落書き1枚でも、人生は始まるんです。火種に、大きさは関係ない。

あなたが最近「なんだこれは!」となったもの、ありますか。……それ、もうちょっとだけ、調べてみませんか?